小学生の頃、塾通いを嫌がった私に母は家庭教師をつけた。
多分どこかの大学生で、髪の長い女の人だったのだけど、今となっては名前も顔も記憶の向こうだ。
今思えば20代前半の女の子、といってもいい歳の人だったのだろうけど、なにせ自分がまだ11歳とかなのだから、やってきた彼女は紛れも無く大人に見えた。
結果どれだけまじめに勉強したのかというと、全くもってゼロに等しい成果しか勉強嫌いの私は上げられなかったように思うけど、家に親戚でも友人でもない大人がやってくるという経験はなかなか面白いものだったように思う。
現在私がもう彼女の年齢をとっくに越えているのだから、家庭教師として私の家を訪ねてきてくれていた彼女も中年近くなっている筈で、勿論連絡など取り合っていないから今どうしているのかも知る術がない。
そうやって一時すれ違って会うことのない人思うと、とても不思議な気持ちになるのだ。
確かに出会った人なのに、物語の登場人物のように遠い…不思議な気持ちに。
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